納税方法を検討する過程で、なぜ財産の分け方が重要なのか?について、事例をあげて説明することにしましょう。たとえば、延納を選択していた相続人が、相続によって取得した土地を売却したとします。目的は相続税の繰上げ納税です。メリットとしては、余計な利息分の利子税を払わなくて済むということです。ただし、ご存知のように通常土地を売却すると、その売却益に対して譲渡税(所得税・住民税)がかかってきます。
土地の売却益=売却代金−(取得費+譲渡費用)
譲渡税=土地の売却益×20%…(所得税15%、住民税5%)
相続税を払うために手放した土地の売却益の2割に相当する譲渡税を払うことになるなんて…。これでは一体何のために土地を売ったのか、わかりません!そこで、国は「相続税の取得費加算」の特例を設けて譲渡税を減らせるようにしました。この特例は、文字通り自分が支払った相続税を取得費に加えて売却益を減らすというものです。
土地の売却益=売却代金−(取得費+相続税の取得費加算額+譲渡費用)
多額の相続税のある人は、売却益がなくなり譲渡税がゼロ(0)となることもあります。これで、やっと売却代金で納税することができます。ただし、売却には期限があるのです。この特例は、いつ売却してもよいという訳ではなく、申告書提出期限(相続がはじまった日から10ヵ月後)から3年以内となっています。ここも要チェックです。 |