東京港区の税理士が、相続税の申告から相続税対策(事業承継の対策を含む)や不動産税務を本気でお手伝い。

サイトマップサイトポリシー
有限会社イスタンテ
ホーム
企業理念
会社概要
サービス
よくあるご質問
ニュースリポート
登坂総合研究所
お問い合わせ
 
 


News Report No.3
会社オーナーの悩み、事業承継。
近時の改正商法を活用した最新の相続対策。
その一例、DESの活用とは?
−事業承継対策としてのDESの活用−

2004年8月6日

1.会社オーナーからの借入金も、立派な相続財産!

 会社の決算書をみてみると、役員借入金としてオーナーからの借入金が計上してあります。「いつの間にこんなに多額になったのだろう。」と思ったことはありませんか。理由は様々ですが、長年の間に催促なしに蓄積されたものではないでしょうか。このような借入金のある会社は、意外に多いのです。でも、このまま放っておいて大丈夫なのでしょうか?
 この借入金は、オーナーの側からみれば貸付金ということになります。したがって、いざ相続となると貸付金=相続財産として相続税が課税されるのです。そもそも、この貸付金は回収できるものなのでしょうか。実際は、長年の間に催促なしに蓄積されたものなので、簡単に回収とはいかないことがほとんどです。せっかく会社のためにお金を貸したのに、それがもとで相続税を支払わなければならなくなるとは、会社オーナーの方にとっては頭の痛いことです。なんとか良い方法はないのでしょうか?
 そこで今回は、事業がこれから好転していく可能性のある会社を例にとって、その対策を考えてみました。

2.赤字会社なら債権放棄

 もしも現在、会社に多額の赤字があったのなら、まず、オーナー側で債権放棄を考えてみましょう。この場合には、会社側で借入金を返済しなくてよくなった、つまり、得した利益(債務免除益)が発生します。単純計算で、この債務免除益が税務上の赤字である繰越欠損金の範囲内なら、通常の法人税等が課税されません。したがって、税負担なしに相続財産(貸付金)をゼロ(0)にすることが可能になります。しかし、債務免除益が繰越欠損金を超えれば、通常の法人税等の課税が生じてきます。そこで、目安としては繰越欠損金の範囲内で債権放棄をするということになります。

3.債権放棄の注意点!

 ここで、注意したいポイントが二つあります。まず一つは、同族会社が多額の利益を得た場合には、通常の法人税と別に法人税が課税される(これを、「留保金課税」といいます)ため、これに注意しなければなりません。もう一つは、債権放棄による株価上昇部分が、他の株主に対する贈与とならないかどうかに注意することです。これは、会社に対して債権放棄をしたときは、会社の純資産が増加した部分に対応する部分について贈与があったものとする、という考え方からきています。大雑把にいうと、他の株主はオーナーとは異なり債権放棄を実行していません。それなのに、オーナーの債権放棄後は株価が上昇し、その利益を享受することになるとしたら、それは結果としてオーナーからの贈与じゃないか、ということです。したがって、債権放棄の前と後の株価や株主構成をチェックしてから実行しなくてはなりません。対策の手順としては、(1)株価の低いうちに株式を移転→(2)債権放棄です。

4.DESを活用した相続対策

 今度は、会社に赤字がなかった場合について考えてみます。そこで登場してくるのが、DESです。DESとは、デット・エクイティ・スワップ(Debt Equity Swap)の略で債務の株式化という意味です。不良債権問題に直面している主に金融機関が、不振取引先を支援する目的で、このDESを活用して脚光を浴びています。その流れを受けて資産税の専門家の間で、このDESの手法を取り入れた中小企業の事業承継対策が考えられています。いったいそれは、どのような方法なのでしょうか?
 では、さっそくDESの活用法をみていくことにしましょう。まず、会社の株式評価額を算出します。その上で、第三者割当増資を行います。このとき、第三者割当増資はオーナーの貸付金債権を現物出資する形で行います。これを会社側からみると、役員借入金が資本金に振り替わることになります。反対に、オーナーの側からみると貸付金が株式化することになるのです。これは相続対策の面からみると、どういうことがいえるのでしょうか。
 今回取り上げた会社のような場合には、貸付金は額面金額で評価されることになります。したがって、残念ながら貸付金の評価を引き下げることはできません。ところが、DESを実行して、貸付金が株式に転換された場合には、どうなるのでしょうか。株式の評価額は、額面金額ではなく時価で計算されることから、相続財産の評価引下げの対象となってきます。つまり、転換された株式に対して様々な株価対策を行うことにより、事業承継対策が可能になったのです。

5.商法改正で税理士による現物出資の証明が可能に!

 上記のような対策を考える上で、今までは商法上の問題がネックとなっていました。たとえば、資本金1千万円の会社が、いきなり2億円の増資をすることはできませんでした。それが、平成14年の新商法から、定款に株式の譲渡制限が付されている会社であれば、いくらでも増資できるようになりました。また、旧商法では現物出資による払い込みは、一定の場合を除いて、裁判所等の検査役による調査が必要でした。この検査役の調査には、時間と費用がかかりました。実際、どのくらいの時間と費用がかかるのかは調査を受けるまでわからない、といった問題点があったのです。それが、新商法により、検査役の調査でなくても弁護士や税理士の証明があればよくなったのです。これにより、会社オーナーの方にとっては時間と費用が大幅に削減できることになり、税理士にとっては飯のタネがひとつ増えることになりました。

6.DESの実行にあたっての注意!

 DESの実行における注意点としては、特に有利な発行価額で増資をした場合の、株主に対する贈与税等の問題があります。そのため、時価や発行価額を慎重に計算することが重要です。そして、DES後の資本金が多額になってしまう点にも注意してください。なぜなら、資本金が多額になると、会社が今まで受けてきた税務上のメリットが受けられなくなってしまうからです。しかも、資本金が1億円以上になると、原則として管轄が税務署から国税局となり、今までの税務調査とは勝手が違ってくることになります。さらに、5億円以上になると、商法監査が強制されてきます。それでは、何かよい方法はないのでしょうか?
 対策としては二つ考えられます。一つは、増資の払込金額の全額を資本金とせず、一部を資本準備金とするのです。旧商法では株式に額面があったために、額面を超える部分は資本準備金とされていました。しかし、新商法では株式に額面がなくなり、払込金額のうち2分の1まで資本金に組み入れないことができます。これを活用するのです。もう一つは、詳述いたしませんが、減資を行い対策することです。
 以上のように、DESを活用した相続対策は、かなり大掛かりなスキームとなります。相続税対策のために余計な法人税等や贈与税を支払うことがないように、くれぐれも注意してください。

7.今、商法改正が追い風に!(最新の相続対策)

 最新の事業承継対策の一例として、DESの活用例をご紹介してきました。このように、近時の商法改正を利用したスキームが多数考えられています。たとえば、会社分割等の企業組織再編成を利用したもの。また、従業員持株会での議決権制限株式などの種類株式を活用したものなどがその一例です。制度的に新しいものや全体的に大掛かりなスキームについては、実際に税理士だけでは対応できません。このような場合には、信頼のできる外部の専門家とチームを組んで対策を行っていくことになります。
 最後にトピックなものを一つだけご紹介しましょう。現在、平成17年改正予定の会社法について、議論されているところです。その議論のもととなるものが、「会社法制現代化要綱試案」です。この試案によると、改正後は今回ご紹介した現物出資における税理士等の検査役調査が不要となるようです。これは、会社オーナーの方にとっては朗報ですが、税理士にとっては飯のタネが…。
 これからも常に新しいものにチャレンジし、会社オーナーの方のための事業承継対策をお手伝いしていきたいと思っています。

ニュースリポートのトップに戻る
 
ページトップへ
 
ホーム | 企業理念 | 会社概要 | サービス
FAQ | ニュースリポート | 登坂総合研究所 | お問い合わせ

有限会社 イスタンテ
登坂純一税理士事務所
東京都港区南青山 3−1−3 SPLINE青山東急ビル 6F

お問い合わせ