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News Report
No.6
平成17年度の与党税制改正大綱の全容が明らかに(速報!)
−平成17年度税制改正を探る−
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2004年12月16日
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平成17年度の与党税制改正大綱の全容が明らかになりました。例年、税制改正大綱の決定前の段階で、様々な情報が入ってきます。しかし、毎年のことながら、ふたを開けてみなければわからないことが多いのです。たとえば、昨年なら「土地・建物等の譲渡所得の損失と他の所得との損益通算の廃止」がその代表です。では、今年は…というと、サプライズなし、というのが率直な感想です。 |
1.そもそも税制改正大綱とは? |
税制改正大綱は現段階では政府の正式な案ではありません。しかし、ほぼその内容通りに法律が改正されるため、現段階で最も重要な情報ということができます。
この大綱は年始には閣議決定され、正式な改正案として、通常国会の審議を待つことになります。例年と同じなら、3月末に予算関連法案として議決されることになるでしょう。いずれにしても、今後の動向を見守る必要があります。なぜなら、1月に遡って適用されることがあるからです。
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2.中古住宅へローン控除の拡大など…住宅税制関連 |
平成17年4月以後に住宅を取得・居住した場合には、一定の耐震基準を満たしていることを条件に、築年数にかかわらずローン控除が適用されることになりました。キーワードは、「一定の耐震基準を満たしている」です。このキーワードが活かされることになるのは、住宅ローン控除だけではありません。(1)住宅取得資金の贈与の特例(相続時精算課税制度)、(2)住宅の所有権移転や住宅取得資金貸付の抵当権設定に対する登録免許税、(3)居住用の買換え・交換の特例、があります。なお、(3)について、譲渡は平成17年1月以後からです。
不動産取得税の課税標準の特例も、耐震基準により適用範囲が拡げられました。
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3.タンス株の預入期限延長…金融・証券税制 |
個人投資家が自宅などで保管する「タンス株」の特定口座への預入制度は、今年末までとなりました。形を変えて平成17年4月から再開されます。今までは、いくらで購入したか不明の株券については、みなし取得価格を利用できました。しかし、今回これを利用した節税対策が封じられました。急いで手続しないと時間切れになってしまいます。これからは、取得価格が明確でないといけません。
個人的には、上場株式等の譲渡損失を活用した、同族会社オーナーの方への事業承継対策については改正がされていないようなので、ホッとしました。
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4.節税商品への規制…民法組合等への課税の強化 |
節税商品と名の付くものはいくつかあり、その代表的な例の一つに航空機等のレバレッジドリースがあります。個人が、この事業を行っている民法上の組合員となり、リース事業に係る損失を不動産所得として、他の所得と損益通算するスキームです。つい最近、名古屋地裁で国側敗訴の判決が出たばかりです。さっそく、今回の改正により規制されました。平成18年の所得税(個人住民税は平成19年)から適用され、損益通算できなくなります。
民法組合、匿名組合等の法人の組合員についても同時に規制がなされ、平成17年4月以後の契約から適用されます(規制の内容については、個人と若干異なります)。
さらに、海外投資家に対しても、投資ファンドの一種である民法組合を通じて日本へ投資した場合には、その利益に対して平成17年4月以降から源泉徴収されることになりました。内と外と両方に租税回避防止策がとられることとなり、まさに包囲網といった感じです。
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5.企業再生に活力を…債務免除益に対する課税が軽減 |
現在は、金融機関の債権放棄によって生じた免除益は課税対象となるため、企業再生や不良債権処理のネックとなっていました。再生を目指す企業が、その保有する不動産などの評価損を計上し免除益から差し引くことが可能になりました。民事再生法の再生計画認可の決定等、その他一定の要件を満たす法人にとっては朗報といえます。 |
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6.その他…こんな改正もありました |
多くの方が影響を受けるものとしては次のようなものがあります。
(1)定率減税の縮小(所得税は平成18年1月以後、個人住民税は平成18年6月以後)
(2)国民年金について控除証明書を確定申告や年末調整の際に添付(平成18年分以後)
不動産オーナーの方については、優良賃貸住宅等の割増償却率が引き下げられました。特定優良賃貸住宅に係る割増償却率は、21%(耐用年数35年以上は28%)から15%(耐用年数35年以上は20%)になります。高齢者向け優良賃貸住宅や改良優良賃貸住宅については、割増償却が2年延長されます。また、不動産の譲渡に関する契約書の印紙の特例も2年延長されます。
延長といえば、不動産取得税の改正では、一定のSPC(特定目的会社)や投資信託が一定の条件を満たす場合には、課税標準の特例が2年延長されます。
新しいものとしては、人材投資(教育訓練)に使った費用の一定割合を法人税から差し引く人材投資促進税制が創設されましたが、どうも小手先の減税のように思われて仕方ありません。
最後に、所得税の確定申告書の記載事項に、譲渡所得の金額の計算に関する事項が加えられましたが、具体的には?簡単に記載されているだけなので、ちょっと気になります。
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