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News Report No.9
新会社法が平成18年4月1日から導入されるとどうなるか?事業承継対策は?
−会社オーナーのための会社法改正のポイント−
(組織変更、従業員持株会、金庫株など)

2005年5月31日

 毎年のように改正が続いた商法ですが、最後の仕上げとばかりに「新会社法」が一部を除き平成18年4月1日から導入される予定です。今回は、この新会社法(会社法改正)が中小企業の会社オーナーに与える影響について考えてみました。
1.新会社法とは?
 明治32年制定の商法等の会社関係の法律は、改正を繰り返しながら何とか今日まで持ちこたえてきました。しかし、満身創痍の状態だったため、あちこちに矛盾が生じてきたのです。そこで、社会経済情勢の変化に対応すべく登場するのが「新会社法」です。商法第2編、有限会社法、商法特例法を再構築すると同時に、カタカナ文語体を改めひらがな口語体で記載するなどの工夫がなされています。

 平成16年12月8日に法制審議会から「会社法制の現代化に関する要綱案」が提出され、平成17年2月9日に「会社法制の現代化に関する要綱」が決定されました。そして、新「会社法」が3月18日に閣議決定され、3月22日に法案提出されました。さらに、5月17日に衆議院を通過、今国会で成立する予定です。

2.有限会社の制度がなくなります!
 新会社法では有限会社法がなくなったことから、有限会社を新たに設立することはできません。しかし、現存する有限会社には所要の経過措置がとられることから、特例有限会社として存続することができます。さらに、決算公告の免除や役員の任期がないなどのメリットはそのまま受けることができるのです。
 株式会社の方が一般的に信用面で有利、何年かすると有限会社のネーミングがクラシックになる、とお考えの会社オーナーの方は、将来、株式会社への組織変更を検討することになるでしょう。

3.最低資本金規制がなくなります!
 現在、有限会社は300万円、株式会社は1,000万円の最低資本金の規制があります。その例外として、1円の資本金でも認められている確認会社の制度があります。しかし、これはあくまで特例で認められてものです。したがって、会社設立後5年以内に上記の最低資本金をクリアしなければなりませんでした。
 ところが、新会社法ではこの最低資本金の規制がなくなります。したがって、確認会社は増資の必要がなくなりました。また、理論上はどの会社でも1円まで減資することもできるようになります。

 イメージを気にする有限会社のオーナーの方は、増資することなく株式会社に組織変更することができるようになります。もっとも、将来は株式会社といっても資本金が1円なのか、1,000万円なのか、1億円なのか、ネーミングだけでは規模の判断はまったくできなくなるのでその効果はビミョーといったところです。いずれにしても、会社の外見ではなくその中身が問われる法改正ということができるでしょう。また、融資の担当者にとっても、これまでの融資基準を新会社法により見直すことになるかもしれません。

4.組織変更の活用法
 有限会社から株式会社への組織変更は、現行商法では形式的には有限会社を解散して株式会社を設立することになります。しかし、税務上は会社がそのまま継続している点に着目して、原則として課税の問題は生じません。詳述いたしませんが、解散時の清算所得に対する課税、みなし譲渡、みなし配当といった問題は生じないことになります。また、青色申告も繰越欠損金もそのまま株式会社に引継がれます。

 現行では有限会社から株式会社へ組織変更するには資本金1,000万円が必要ですが、その財源対策として資産の含み益を利用する方法があります。資産の評価益の計上は通常認められていないのですが、有限会社から株式会社への組織変更の場合には認められています。この方法を利用して、株式会社化と同時に資本金を充実させたのです。これは、債務超過や多額の繰越欠損金を抱える有限会社にとっては、有効な借入金対策ということができます。
 もう少しわかりやすく説明しましょう。時価1,000万円、帳簿価額が300万円の資産の場合には帳簿価額を時価まで引き上げると、資産が700万円増加することになると同時に資本金も700万円増加します。これで、資本金1,000万円になります。そして、税法上は資産評価益700万円は課税の対象となるのですが、繰越欠損金がそれ以上ある場合には相殺され課税されません。土地重課制度(土地について通常の法人税とは別に課税される制度だが、現在、適用停止となっている)や株主に対する課税の問題もありません。会計上の問題は別として、時価以下の帳簿価額の評価替えは可能となっています。
 ところが、上述の特例有限会社はこの方法が使えないようです。その理由は、新会社法では特例有限会社となった時点で従来の有限会社とは別扱いになり、株式会社への組織変更ではなく商号変更扱いとなるからだそうです。したがって、資産評価益を利用した組織変更は新会社法導入前までに行わなければなりません。

5.従業員持株会を活用した事業承継対策はどうなる?
 商法といえば債権者保護。つまり、債権者と株主との利害を調整する機能があります。この考え方が、新会社法では少し変わるようです。どういうことかというと、債権者の他に少数株主等を保護しようということです。これにより、議決権のない株主についても一定要件を満たす場合には少数株主権が認められこととなり、取締役解任請求権や帳簿閲覧請求権を持つことになりそうです。
 従業員持株会を活用した事業承継対策では、経営権の維持を図りながら、持株数を減らすことにより相続財産を減少させて事業承継をスムーズに行う対策がとられてきました。簡単にいうと、経営権の維持を図るため、無議決権株式など議決権を制限した株式(種類株式)を従業員持株会に割当てたのです。ところが、新会社法により雲行きが怪しくなってきました。今後、従業員持株会との良好な関係を築いていない会社オーナー側にとっては、神経を使うことになるでしょう

6.会計参与と粉飾決算
 新会社法により新たに「会計参与」制度が導入されます。この会計参与は、取締役・執行役と共同して会社の計算書類を作成します。一般的に会計知識が希薄とされる中小企業を税理士(税理士法人を含む)や会計士がバックアップし、計算書類の信頼性を高めることを目的としています。新たな税理士業務として注目されている会計参与ですが、社外取締役と同様の規律が適用され株主代表訴訟の対象にもなり、その責任は大変重いものとなっているのです。

 銀行から新たに借入をする場合や建設業許可のために、やむを得ず利益を過大表示した粉飾決算したと仮定しましょう。仮に、粉飾決算で監査法人が訴えられた場合には、会計監査人はその粉飾を発見することがいかに困難であったかを主張することになると思われます。しかし、会計参与は取締役と一緒に決算をすることから、同様の主張は成り立ちません。さらに、会計参与は会計や税務の専門家としての立場があることから、取締役と違って免責などの可能性も低いと思われます。このことを考えると、どれだけ会計参与制度が普及するかは、企業側の健全な経理処理に対する意識にかかっているということができます。

7.金庫株を利用した事業承継対策はどうなる?
 同族会社のオーナーに相続が発生した場合には、相続人はその株式に課される相続税の納税に困ってしまうことがあります。そこで、利用される方法に金庫株を利用する方法があります。金庫株とは、会社が自己株式を買い取ってこれを保有している場合、その保有している自己株式のことをいいます。相続税の納税対策として、同族会社の株式をその発行会社に買い取ってもらい、相続人の相続税の納税資金を捻出します。これにより、事業承継をスムーズに行うことができるのです。税制面では、平成16年の税制改正により相続人の譲渡所得課税が可能となりました。さらに、これに加えて譲渡所得の計算上、相続税の取得費加算の特例(ニュースリポートbQ参照)を利用することが可能となっています。

 さて、新会社法では、株式譲渡制限会社以外の会社を「公開会社」といいます。したがって、同族会社は通常は公開会社以外の会社となります。この、公開会社以外の会社には、相続時に金庫株が取得しやすいように手続の特例が設けられています。一例をあげると、定款で定めることにより、会社側から相続人に対して株式の売渡請求をすることができるようになります。つまり、会社側にとって都合の悪い株主からの株式を買い取ることができるようになり、相続人間のトラブル回避に役立ちます。

 このように、新会社法は、公開会社とそれ以外の会社とに分けることで、中小企業に対する配慮をしています。その結果、同族会社の事業承継対策については、手続き的な面で使い勝手のよいものとなりました。

8.公開会社以外の会社は運営が容易に!
 公開会社以外の場合には、取締役は1人でよいことになります。これで、名目だけの取締役を置く必要はなくなります。監査役についても必要がなければ置かなくてよくなります。そして、取締役会についても置かなくてよくなりました。仮に取締役会を開催しない場合には、株主総会における株主の権限が今まで以上に強まる結果となります。その他、取締役の任期については定款により最長10年とすることができることなど、公開会社以外の会社については運営の省エネ化が図られています。
 さらに、公開会社も含めて、既報のとおり(ニュースリポートbR参照)DESの現物出資における検査役調査が不要となります。省エネ化はもちろん公開会社にもあります。

9.新会社法と課税実務
 今後、資本金等を基準に税務処理が行われているものについては、税制改正が行われることになるでしょう。簡単に例を挙げると、中小法人に対する800万円以下の軽減税率、寄附金や交際費の損金算入限度額、同族会社の留保金課税及び住民税の均等割額その他があります。
 税制改正に限らず、財産評価基本通達についても見直されることでしょう。詳述いたしませんが、理論上は資本金1円の会社では、これまでどおり「類似業種比準価額」や「配当還元価額」といった株価計算は困難です。この点については、今後、会社オーナーの事業承継対策にどう影響を与えるのでしょうか。

 繰り返しになりますが、新会社法については、まもなく法案成立の予定です。最近の新聞報道によると、企業側が現行の会社形態を維持する場合には、登記の変更手続を不要とし、登録免許税を課さないとあります。このように、日々入ってくる情報からこれからも目が離せません。いずれにしても、今回の会社法改正は、ライブドア同様多くの人に企業法務について考える機会を与えてくれそうです。


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